どの土地にもソウルフードと呼ばれるものがある。
先日名古屋出張の際、どうしても経験したくて名古屋人のソウルフード「すがきや」を体験した。
灼熱の名古屋のソウルフード「スガキヤ」を蒸し地獄で堪能した話
さて、僕の出身は鹿児島。
鹿児島のソウルフードは何だろうと考えてみる。
ざぼんラーメン?
(ちなみに鹿児島ラーメンは九州の中でも異質。別記事で改めて紹介したい)
桜島フェリーのやぶ金?
しろくま?
いやいや、僕は全力で山形屋食堂の「焼きそば」を推したい。
鹿児島なのに焼きそば?と思われた方は、この先読み進めていただきたい。
目次
「焼きそば」を提供する山形屋食堂とは
焼きそばの紹介をする前に、それを提供する山形屋食堂を紹介したい。
山形屋食堂とは、鹿児島の老舗百貨店「山形屋」の最上階に位置するレストランである。
歴史は古い。
山形屋子会社のベルグ(旧山形屋食堂)が1943年(昭和18年)7月に運営を開始し、1972年(昭和47年)から現在の7階で営業している。-wikipedia 山形屋
これが初期の食堂の写真らしい。
今は改装されて、綺麗になっている。
僕自身改装されて行ったのは今回が初めてで、その綺麗さにかなり驚いた。
ちなみに休日のお昼は超がつくほどの行列が出来る。
ましてお盆などの連休はいつも以上だ。
行かれる際は覚悟を持って並んでいただきたい。
山形屋食堂の「焼きそば」とは
さて、この食堂。
メニューをみても普通のレストランと変わりないように見える。
だが当たりを見回すと、皆大皿の野菜餡のかかった麺をバクバク食べている。
そう、それこそが山形屋食堂名物「焼きそば」なのだ。
これまた老舗のメニューで、なんと1958年(昭和33年)から提供されているとのこと。
名物は1958年(昭和33年)から出している「焼きそば」で、揚げ麺に野菜たっぷりのあんかけをかけたものである。安価に設定されているものの、年間13万食が提供され、このメニューだけで大食堂の売り上げの半分を占める-wikipedia 山形屋
し、しかも年間13万食?!
でも実際に食堂を見回しても多くのお客さんが注文しているので、納得。
少し昔話。
僕の家の話になるが、たまの休日は車で鹿児島市内まで出掛けていた。
祖父母の実家が鹿児島市内ということもあり、指宿からわざわざ1時間以上もかけて遠出した。
午前中にお墓参りをして、その後買い物も含め山形屋に行くことが多かった。
その際お昼ご飯はやはり、山形屋食堂。
祖父はそば、祖母は定食、そしてこの焼きそばは母親と分けて食べたりした。
「お墓参り」と聞くと、「遠くてちょっと面倒くさいなぁ」というのが当時の心境であった。
でも、祖父母や母、妹と食べるお昼ご飯は滅茶苦茶楽しみであった。
特にこの山形屋食堂は何回来たか数えられない。
小学生の頃は何とも思っていなかったが、今となっては懐かしく、幸せな思い出の1つだ。
そういった意味で、僕にとって山形屋食堂の「焼きそば」は間違いなくソウルフードなのだ。
同じ様な経験をされた方は、他にもいるのでは?
山形屋食堂の「焼きそば」を数年ぶりに味わってみた
というわけで、数年ぶりに焼きそばを味わってきた。
今の僕は昔とは違い、食品の開発に携わっている。
だから、なんとしても焼きそばが愛される理由を探らなければならない。
さて、食堂へ。
行った時間は11時半。
お昼ドンピシャは満席&超並ぶので、ピークは避けた方がベター。
この日は連休でも何でもない普通の土曜日だったのが、すんなり入れた。
さて焼きそばを注文。
700円だったのか。思ったより安い印象だ。
焼きそばが来るまで辺りを見回す。
店内はまだガラガラで、年配のご夫婦が二組、ご高齢の男性が1人といった具合だ。
と、となりの年配のご夫婦の奥様が「焼きそば」を注文した。
やはり焼きそばの人気、恐るべし。
少しだけ待って、焼きそばが運ばれてくる。
やはりデカイ!
そう、まずはこの焼きそばの特徴はそのボリュームだ。
デカさのわかる比較写真を撮れずに申し訳ない。
このメニューがまずデカイので、それと同等の皿のサイズと思っていただければ。
以前ビッグを注文した時、平らげた後腹がパンパンで動けなかったのを思い出した。
大学生の胃袋でそれなので、ボリュームの凄さがお分かりいただけるだろう。
そして冒頭から散々焼きそばと書いてきたが、この焼きそばは一般的な焼きそばとは違う。
皿うどんに近い。
ちょい太めの揚げ麺に、たっぷりの餡がかかっている。
この野菜餡が豚肉、もやし、キャベツ、かまぼこ、しいたけ、人参、イカ、ねぎと種類も多く、具沢山。
早速食べてみる。
うん、美味い。
揚げ麺のパリパリとした食感、そしてドロっとした餡と炒めた野菜の食感。
このコントラストが美味さの秘訣だ。
だが、疑問もある。
いや、美味しいのだ。美味しいのだけど、言ってしまえば普通なのだ。
ジャーッと炒めた肉・魚介・野菜に鶏ガラスープみたいなのを加え、とろみをつける。
揚げ麺の上にそれがドバアァァァァとかけてあって、無心で食べる。
美味しくないはずがないのだけど、突出した何かは無い。
と、ふとテーブルを見てハッとさせられた。
そう、そうだよ。
愚かな僕はコレを忘れていた。
三杯酢だ。
幼き頃もこれをドバドバかけて食べていたのを思い出した。
そういえばボトルもかなりスタイリッシュに変わった気がする。
さて、興味深いその三杯酢をそのまま味見してみる。
…あまっっっ!
甘すぎる。酸味は全然とがっておらず、逆に甘みは強すぎるほど。
これをドバドバかけたら、果たして美味くなるのか…?
実は幼き頃の記憶の方が間違っているのだろうか…
いっそ清水の舞台から飛び降りる気持ちで、食べかけの焼きそばにドバドバかけてみる。
混ぜて実食。
うおぉぉぉ?!
う、美味い!!!!!
そのまま味見した三杯酢は甘すぎたが、焼きそばにかけるといい感じに甘みが足される。
味に厚みが増し、甘く、そして旨くなる。
だが、酢ということもあり、後味も思ったよりベタつかない。
凄いぞコレは、かなり美味い。
※ちなみに三杯酢のせいか、後で結構喉が乾きます。
と、あっという間に完食してしまった。
なるほど、山形屋食堂の焼きそばは、そのままでも充分美味しい。
だが、三杯酢をかけることで究極系へと完成するのだ。
これは実に興味深かった。
まとめ:ビッグサイズの山形屋食堂の焼きそばは三杯酢たっぷりをかけて是非味わおう
まとめると
・山形屋食堂の焼きそばは、皿うどんのような焼きそば。
・揚げ麺と野菜餡のコントラストで美味。
・円卓の三杯酢をかけると、美味しさが完成する。
ちなみに、鹿児島空港にも山形屋食堂がある。
鹿児島には観光に行くが、わざわざ市街地のデパートまで行くのはなぁ…という方は、サクッと空港で焼きそばを味わってみるのも良いと思う。
鹿児島のソウルフード山形屋食堂の「焼きそば」。
是非一度、お試しあれ。
山形屋食堂
住所:鹿児島県鹿児島市金生町3-1 鹿児島山形屋 1号館7階
電話:099-227-6165
営業時間:[9月1日~5月5日]10:00~20:30(L.O)
[5月6日~8月31日]10:00~19:30(L.O.19:00)
定休日:山形屋店休日に準ずる
支払方法:カード可(JCB、AMEX、Diners)