エリック・ドルフィーと僕の友達の話 Eric Dolphy “last date”

最近、極端に音楽を聴く頻度が減ってしまい、確実にジャズアカから遠ざかりつつある。

ジャズをやっていたおかげで今までどれだけ助けられたことか!と思い出し、先日あわてて外付けハードディスクを引っ張り出した。
適当なものをかけようと思い、目に留まったのがドルフィーのラストデイトであった。

 

エリック・ドルフィー。

間違いなく彼は素晴らしいミュージシャンだった。

と同時に、彼を聴くと、ある友人を思い出す。

「楽器の選択」という話も交えて、ドルフィーの話を書いてみたい。

ドルフィーの音に驚いた

ドルフィーを知ったきっかけはミンガス

確かドルフィーを最初に聴いたのは、ミンガスのTown Hall Concertだったと記憶している。

 

当時の僕はミンガス狂。

ゴリッゴリの音にハマリ、なるだけ彼に近づこうと、楽器のセッティングもキツメにした。

某プロベーシストに「僕も弦高は高いのが好きだけど、これはさすがに高すぎ」と言われたほどであった。

しばらくそのセッティングで頑張っていたが、手が痛すぎる。

八分音符すらまともに弾けないので、結局あほらしくなり、やめた。

 

さて上に挙げたtown hall concertだが、いかにもミンガスのバンドっぽい感じで進行していく。

フロントがソロをとる。

途中ジャキバイアードのソロになったり、ベースとドラムのバースだったりと面白おかしく、そしてすごい演奏が続く。

その後、ソロをとっていたのがドルフィーであった。

 

「え?何この人?!」

 

それはそれは衝撃的であったのを覚えている。

かと思えばplaying with ericでのフルート。

あぁそうか、この人は自分の音楽をやっているんだ…

そこからドルフィーにはまり、ミンガスとやっているのは大体聴いた。

 

LAST DATE

ラストデイトはドルフィーを聴いていく中で知った名盤だ。

なるほど、ドルフィー公式の遺作ということだが、内容が素晴らしい。

そして他のメンバー(ミシャ・メンゲルベルグ、ハンベニング、Jacques Schols)も滅茶苦茶素晴らしい。

個人的なベストは、you don’t know what love isだ。

同タイトルを演奏したものでは、このドルフィーのものが一番だと確信している。

 

やはり何度聴いてもドルフィーはいい。

若くしてなくなっちゃったミュージシャンの一人だが、彼が長生きしていたら…と思わざるをえない。

 

ふと思い出したジャズ研の同期

ドルフィーといえば、大学のジャズ研の同期を思い出す。

彼は元々大学入学以前からギターを弾いていた。

 

元々ロックが好きで、手はよく動くほうだった。

だが、イマイチジャズギターはパッとしなかった。

4年経った頃、彼はギターを辞めてしまった。

 

そして、格安のバスクラリネットを手に入れ、ひたすらに楽器の練習に励んだ。

そうして彼と会わずしばらく経った後、セッションをすることとなった。

 

これが、面白かった。

 

彼は以前のさえないジャズギタリストではなく、ドルフィーのエッセンスを極めて自然に取り入れたマルチリード奏者に生まれ変わっていた。

僕はその時、楽器とその人がバチっとマッチする、という不思議な現象に出会った。

長年ジャズ喫茶をやってて、自身もドラマーでもあるマスターからも聞いたのだが、こういった「その人に楽器がバチっとハマる」ということは、あるらしい。

 

楽器の上達に悩んでいる人は

この経験から、僕は色々な人に「楽器の上達に悩んでいたり、他にやりたい楽器があったら積極的に他の楽器を触ったらいい」と伝えている。

 

少し別のケースをば。

同じくジャズ研で一緒だったドラマーがいた。

彼はドラムが大好きで大好きでたまらなかったのだが、絶望的にリズム感が欠如していた。

色んな先生についたが上達しなかった。

 

あらゆる人から「ドラムをやめたほうがいい、お前には向いていない」と幾度となく言われていた。

卒業間近にやっといい先生にめぐり合え、やっと、彼は周囲が驚くほどの上達を果たした。

ここには彼のドラム愛があった。

「石の上にも三年、というが、好きなことじゃないと三年も続けられないし上達しない」とは「幸福の資本論」で出てきた1節だ。

 

だけどやっぱり、長らく評価されないのはツライ。

練習が足りないだけ、と言われればそれまでだ。

だが、僕らアマチュアは、好きなように音楽を楽しんだらいいと思う。

 

だから、ドルフィーそっくりに生まれ変わった僕の友人みたく、長く親しんだ楽器から大胆に別の楽器へとチェンジしてみるのも良い選択肢の1つだと感じている。

短い人生の中で僕らが音楽を楽しむには、それくらいの気軽さがあっていいのかもしれない。

 

ドルフィーの有名な「When you hear music,after it’s over,it’s gone in the air. You can never capture it again.」のセリフ後の静けさの中、コーヒーをすすりながらそんなことを思った土曜日であった。

 

※ちなみにその有名なセリフがラベルに書かれた焼酎の話はこちら

宮崎の焼酎の話をしようと思う

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