「大阪は昔、天下の台所と呼ばれていて、食文化が盛んだった」
小学校の社会科で習う内容だと思う。
そして、盛んな食文化は現在にも引き継がれ、大阪は食い倒れの街として栄えている。
そんな食い倒れの街に引っ越して来て約3ヶ月。
最初は、天下の台所なんて超大げさだなと思っていた。
だが、現在の僕は「天下の台所感」に納得せざるを得ない。
それは、出汁のボトムを支える「昆布」の美味さとルーツを知ったことに起因する。
うどんといえば讃岐うどんを思い浮かべる人が圧倒的に多いと思う。
だが、関西もうどんが有名なのだ。
関西でうどんが発展したのは、出汁文化の発展に基づく。
さらに出汁文化の発展の元には、歴史的にみて「天下の台所」大阪に昆布が集まったことが関わっている。
今回は豆知識的に昆布の歴史と種類、それから簡易的な出汁レシピを載せてみた。
昆布の歴史(ざっくり編)
昔っから昆布の原産地は北海道だ。
元々昆布は地産池消されていたが、そのうち貢物としての価値が見出され、国内に出荷されることになる。
その出荷ルートは俗に「昆布ロード」と呼ばれた。
昆布を積んだ船は、日本海を通り、下関をぐるっと周り、大阪に行き着いた。
この一大集積地となった大阪で、料理人達がこぞって昆布を買い漁り、料理に使いだした。
もちろん、大阪に集められたのは昆布だけではなく、ありとあらゆる食材が集められた。
魚の節もそうである。
昆布のグルタミン酸、そして魚の節のイノシン酸のコラボレーションは旨味の相乗効果を生む。
こうして関西の出汁文化が出来上がった。
そんでもって関西で大量に消費されるから、関東には昆布が中々出回らない。
そこでかつお節をグラグラ煮て、濃口しょう油で味をつけたのがうどん出汁だったり、そばのつゆだったりする。
そんなわけでつゆが黒くなった。
よく言われる「関西のうどん出汁は透き通っていて、関東のつゆは黒い」という話は、昆布が関係していたのだ。
他にも関西の軟水、関東の硬水とか関係しているが、ざっくりは以上の話。
昆布の種類(ざっくり編)
そんな昆布だが、北海道の各産地によって銘柄が変わり、また味も全然変わる。
それはもう、そっからそこの浜の違いなのに、全然味が変わったりする。
流れる海流が関係しているのだという。
日高地方で取れるのが「日高昆布」。
おやつ昆布とかはコレ。
道北で取れるのが「利尻昆布」。
上品な味で、これで吸い物を作ると最高だ。
道南で取れるのが「真昆布」。
これが出汁としてスタンダードな印象。どっしりとした旨味が取れる。
知床半島付近で取れるのが「羅臼昆布」はかなり濃厚でパンチがある。
ラーメン屋で使われたりもする。
おまけ:旨味の相乗効果を味わおう(ざっくり編)
昆布の旨味の相乗効果を一旦味わってしまうと「昆布、ごめん!俺お前のこと舐めてたわ!これからよろしくな!」という気持ちになる。
これを簡単に味わうレシピを以下に記した。
本当に暇で何もすることがなく、家から出たくない時なんかにおすすめの実験だ。
材料
かつお節:10g(水に対して2%)×2
昆布:5g(水に対して1%)
水:500ml×2
手順
1.片手鍋に500mlの水用意し、昆布を入れ、弱火にかける。
2.ぽつぽつと泡立ち、沸いてくる前に昆布を取り出す。
3.2の状態から火を強くし、グラグラ煮立たせた後、花かつおを入れ、火を止める。
4.しばらくしてかつお節が沈んできたところでザルに濾す。
5.計量カップ等で取れた出汁を量り、蒸発分は水を足して補い、500ml調整する。
昆布無しバージョンはいきなり4のステップからでいい。
で、飲み比べると、びっくり。旨さが段違いなのである。
今回の分量は目安なので、秤とか無いよ!って人は適当でも、まぁOk。
旨さを感じるのが趣旨なのだ。
よく言われる注意点
昆布は煮立たせるべからず。
極めてデリケートで、煮立たせると昆布の臭みやヌメリが出てくる。
即席のやり方をのせたが、美味しくしたかったら水に昆布を入れ、冷蔵庫で一晩置こう。
とっても美味い出汁が出る。
もしくは60℃で40-50分煮る、なんてのも有名だったりする。
また、今回の花かつおは全然煮立たせないが、これで充分吸い物チックな出汁が出る。
だがうどん屋で一般的に用いられる鯖やウルメなんかの節はグラグラ炊いて旨味を出す。
間違っても水から火にかけちゃいけない。
めちゃくちゃ魚臭くなる。
たかが昆布とあなどるなかれ。
こいつを上手く引き立てることで、「お出汁」は劇的に美味くなる。
そんでもって、美味かったうどん屋をちらほら載っけていきます。
2017年12月17日
[…] 昆布の記事で書いたが、大阪は出汁文化が発達していて、うどん出汁が美味い。 […]
2018年4月28日
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